TLM200RFの分解・組立Ⅰ
(Lepreのレストア工房 レプラホーン)
1.オイル潤滑系統
オイル系統のチューブは耐熱耐油性の硬質の二重構造のゴム製が良いです。シリコンの軟質タイプですと、エンジンの振動でチューブが振動し、また負圧の影響でオイルの送出が不安定になります。
(私はオイルの流れが見るために、わざわざ耐熱シリコンチューブを使ったのですが、原因がわからず、苦労しました・・・。)
オイルレベルスイッチの取り付けが緩んでいるとオイルがわずかずつ漏れてきます。案外気づかず、ジョイント部からの漏れと勘違いして原因がなかなかつかめないものですオイルレベルスイッチの取り付けオイルレベルスイッチの取り付けには確か方向性があったように思います。その向きを間違うとしっかり取り付けることができません。(たぶん・・)
オイルポンプは分解厳禁となっています。しかし、私はオイルの出が悪かったため分解しました。(自己責任で)
分解したところ内部に汚れが有り、またシリンダー部の穴(径1mm以下?)に汚れが堆積していました。
内部の汚れはシンナー等の洗浄ではなかなか取れず、最後は2000番のサンドペーパーで研磨しました。
なお分解はカシメ部分を削り取って行ったため、その部分はドリルで穴を開けタップでネジを切り、ネジで組み立てました。
オイルポンプ取り付け
オイルポンプにドライブシャフトを取り付けます。オイルチューブ内の空気を極力抜いた状態でオイルポンプに接続します。ここでオイルポンプ内のエアーを完全に抜くため、オイルポンプをウエスで巻きオイルポンプ上部のエア抜きボルトを緩め、気泡が完全に出なくなれば締めます。
次にポンプ出口からオイルが流れ出るまでドライブシャフトを手で左に回転させます。
このときシャフトが油圧で押されて抜けてきてうまくオイルが出てこない場合は、ポンプ内部に汚れ等で詰まりがあるがかもしれません。
(その心配が無い場合は、とりあえずオイルポンプをエンジンに取り付けてキックペダルを動かして行います。)
オイルポンプにインシュレータ、Oリングを取り付けます。
オイルポンプドライブシャフトをドライブギアに噛み合わせながらオイルポンプを取り付けます。
オーリングとインシュレータがエンジン側におさまりよく取り付けられたら、ボルトを仮締めし、スパークプラグを外した状態でキックペダルを動かしクランクシャフトを回します。問題ないようであればオイルポンプのボルトを本締めします。
次にポンプ出口からオイルが流れ出るか、キックペダルを動かして再度確認しておきます。
オイルポンプ出口側のチューブ(インシュレータへ繋がるオイルパスチューブ)内のエアーを抜くため、オイラ等でを使用してオイルを充填してからオイルポンプに接続します。
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5.クラッチ・ギアシフトリンケージ
4.シリンダヘッド、シリンダ、ピストン
●ピストンの取り付け
ピストンリングはトップリングとセカンドリングでは断面形状が異なります。また上下の方向性がありますので、マークが上にくるようにセットしてください。


クランクケース上面のシリンダー取り付け部をきれいに掃除します。固着したガスケットは、スクレーパーで傷をつけないように十分注意して除去してください。

コンロッドにベアリングを挿入します。
ピストンはINマークが吸気側に来るようにコンロッドをピストンピンで連結します。
このとき各パーツにはオイルを塗っておきます。
エンジン保護用のオイル添加剤を事前塗布してもよいと思いますが、よく調べてから行ってください。
またクランク室に部品を落とさないようウエスでカバーします。
ピストンピンクリップを取り付けます。

ピストンリングの合口がストッパーピンの位置に合っているか確認します。














シリンダーガスケットを取り付けます。
このとき薄くモリブテン系の耐熱グリスを塗布しておくと、ガスケットの固着を防止でき次回の分解が楽にできます。
●シリンダーの取り付け




シリンダーのガスケット当たり面をきれいに掃除しておきます。深い傷がある場合は、傷のかえりをサンドペーパーで除去し、その傷を耐熱性液状ガスケットを埋めておきます。

ピストンリングとシリンダー内面にエンジンオイルを塗布します。
ピストンリングを指で圧縮しながらシリンダーをゆっくり差し込みます。斜めになるとシリンダーに傷がつきやすくなるので十分注意して行ってください。










シリンダーナットは、締め付けトルク2.0~2.4kg・mで対角に締めてください。
シリンダーにリードバルブ、インシュレータを取り付けます。
キャブレターを取り付けます。
シリンダー上面に異物の付着がないことを確認します。
ガスケットのUPマークを上にして、取り付けます。
新品が入手できないときは、古いガスケット表面に液状ガスケットを薄く塗布して再利用します。変形している場合には再利用はお勧めしません。
3.エンジン脱着
エンジン取り外し
(1)シートを取り外す。
(2)フェールコックをOFFにし、燃料タンクの止めネジを外し、タンクを後方にずらして取り外す。
(3)サイレンサーを取り外す。
(4)エキゾーストチャンバーのマウントボルトを外す。
(5)エンジン側のエキゾーストパイプフランジナットを外し、エキゾーストチャンバーを取り外す。
(6)スキッドプレート(アンダーガード)を取り外す。(前2本、後2本のボルト止め)
(7)キャブレターを取り外す。(キャブレタートップ、スロットバルブを外しす。バンドを緩める。)
(8)クラッチケーブルをクラッチアームから外す。プラグキャップをプラグから外す。
工事中
2.キャブレター分解
●スロットルバルブの取り外し(ジェットニードルの点検)
キャブレタートップを反時計回りに回し、外します。手でまわるはずですが固ければプライヤーでつかんで回します。
 キャブレタートップを真直ぐ上に引き上げると、スロットルケーブルに繋がっているスロットバルブが同時に上がってきますので、注意して抜き上げてください。
スロットルケーブルはスプリングシートをスプリング方向に持ち上げるとスロットバルブの切り溝から簡単に外せます。
ジェットニードルはリテナークリップで固定されていますので、そのクリップを外すと、スロットルバルブから取り外せます。
これらのパーツに汚れがある場合は灯油かCRCで洗浄します。ニードルに傷がついている場合や表面に荒れ(細かな凸凹)がある場合は#2000のサンドペーパーで軽く軸方向に研磨します。燃料はニードルに沿って軸方向に上昇してきますからニードル表面への燃料の均一吸着を考えると、コンパウンド等で磨く必要はないように思えます。径が小さくなると特性が変わってしまいますので、あくまで軽く研磨します。

スロットルバルブは傷がある場合、#2000のサンドペーパーで研磨後、コンパウンドで鏡面研磨します。ニードル研磨のような磨き目についての考慮はあまり必要ないでしょう。
●スロットルバルブの取り付け
ニードルには3つのニードルクリップ固定用の溝があります。
キャブレターをオーバーホールすると特性が変わってきますので、最初は標準位置の2段目にしておく方が無難です。
スロットルケーブルをスプリング、スプリングシートに通します。ケーブルをスロットルバルブ側面の溝から通し、ケーブルエンドを取り付けます。

ジェットニードル、スロットルバルブを周辺にぶつけて傷つけないよう、周囲をウエス等で覆っておくとよいでしょう。
スロットバルブをキャブレター本体に入れるためには、スロットルバルブの溝をキャブレター内面の凸に合わせなければなりません。ストップスクリューの位置を目安として、溝位置を合わせます。

キャブレタートップを取り付けます。
取り付け後、スロットルケーブルの遊びの調整とスロットルバルブがスムーズに作動することを確認します。
●キャブレターの分解

キャブレターの取り外し


フュエールコックをOFFにしフェールチューブを取り外します。
ドレンプラグをゆるめ、キャブレター内のガソリンを抜きます。

スロットルバルブを先の要領で取り外します。
コネクティングチューブバンド2本を緩めコネクティングチューブを取り外します。


インシュレーターバンドを緩め、キャブレターを正面から見て右方向に動かし、取り外します。

キャブレターの分解

スクリューネジ2本を外し、フロートチャンバーを取り外します。



フロートピンを抜いて、フロートとフロートバルブを取り外します。

バルブシート当たり面の摩耗をチェックします。
汚れ若干の傷がある場合は、少量のコンパウンドを付け、バルブとすり合わせします。
ジェットの取り外し

ジェットホルダーを外します。


ジェット類は傷つきやすいので取扱いに注意してください。

スロットストップスクリュー、エアスクリューは外す前に、完全に締めこんだ位置までの回転数を確認しておくこと。
シート面が傷つくので強く締めこまないこと。


ジェットの汚れを洗浄しします。
表面が劣化しザラザラしている場合は、コンパウンドで軽く研磨します。(ニードル交換しなくてもだいたいこれで復活します。)
バイスターターバルブの取り外し
スクリューネジ2本を外し、バイスターレバーを取り外すとバイスターターバルブが取り外せます。

●キャブレターの組み立て
キャブレターの組み立て
分解と単純に逆の手順です。
エアスクリューは締めこみから、1回転戻します。(標準位置)
オーバーホールがうまくいくとだいたい標準位置がBESTポジションに近づくと思います。
フロートピンを挿入します。(無理な力をかけないように)
規定油面は19mmです。
キャブレターの取り付け
キャブレターにエアーベントチューブ、オーバーフローチューブを取り付けます。

キャブレターをインシュレータに取り付けます。
インシュレータバンドを仮止めします。
コネクティングチューブを取り付けバンドを軽く仮止めする。
スロットルバルブ、キャブレタートップを取り付けます。
このときスロットルバルブに傷をつけないよう、ウエス等で保護し、キャブの上部を若干斜めにして慎重に取り付けます。
バンドを本締めします。

エアーベントチューブ、オーバーフローチューブを正しい位置に通します。
取り付け後、スロットケーブルを調整します。
●インシュレータ、リードバルブの取り外し
インシュレータ、リードバルブの取り外し

この作業はキャブレター取り付け前に行います。
インシュレータとリードバルブはボルト4本を外せば取り外せます。ガスケットと固着している場合がありますが、その時は同時に取り外してください。

オイルパスチューブの取り付け口は結構、汚れが溜まっていますので、掃除します。










リードバルブはデリケートですので、分解は自己責任で。